FC2ブログ
2014. 02. 14  
03・1 (240x180) 12・8 (240x180)

 この島に来ると、毎回なのだけど、思考力がほとんどゼロになってしまう…。
 他を旅している時は、「ここも見てやろう、あそこも覗いてみよう、さあ明日はどうしようかな?」な~んて、ケッコーまめに計画を立てるのだけど。ここでは何か「ポカーン」と思考なんてものは、限りなく続く海と空の忘却の彼方に連れ去られてゆく。
 そしてボンヤリと、ただ『あー、風が気持ちいい!』な~んて言いながら雲の形に見入ったり、海に入って人間である事すら忘れて魚になって泳いでみたり、貝ガラを拾ってきて、『これキレイでしょ』なんてやっている…。

 これは実際のところ言葉にするのは難しいのだけど、何かフワフワと、とっても気持ちのいい感覚なのだ。ちょうどいい感じで酔っている時の状態?
 『あ、!俺、今少し思考力がなくなってるなあ、へへへ』と、酔ってる自覚はあるのだけど、その感覚をシラフで楽しんでいる時のような、ね。

 光と水と風と…。ジャコメッティの彫刻のように、全てを削ぎ落としていったら、これだけが残った。それが一番気持ちがいいし、一番根源的なような気がする。この島でそれに気付かされ、その影響で自らが主宰するクリエイティブ会社のスローガンにも掲げたほどだ。
 「光と水と風のようにイメージを創造していく」……今のセチガライ世の中では、とても浮世離れしたスローガンだけど(笑) でもこの島のおかげで、その一番大切なことに気付けたと思う。

 そしてこれにジンを重ねてみる。島で飲むキリッと冷えたジンのオンザロックは、掛け値なしに旨い! それはもう飲むというよりは、心の演出に近い。「ジンの気分」というか、「今回のイメージはジン!」というか…。
 カナダやニュージーランド等にある、どこまでも透明な原始のままの川。そこでビッグトラウトを狙う釣人がよく使う言葉に、「ジン・クリア・ウォーター」というイカした言葉がある。それがここでも、すっぽりと「ハマル」気がする。太陽の光も、スコールも風も、時間も空間も、何もかもが、全てジンのように透みきっているからだ。そしてどこか青くさく、カラッとドライで、スコーン!と抜けたように単純なところがいい。

 「いいウイスキーは人生を語れるけど、
いいジンは気分を語れる」ってね。


 で、今回一番印象に残ったのは、島を24時間包み込む「音」だった。 環礁内の穏やかな波の音。それがこの小さな島では360度から聞こえてくるわけだから、 考えてみれば凄い事だ!! 四方八方から寄せては返す波の音に一日中包まれて…。

 そして常に貿易風として吹いてくる風が、椰子の葉を揺らす「葉ズレ」の音、そこに時折、ミツスイ(小鳥)の綺麗なサエズリが混じり、現地スタッフの弾くウクレレの音が、どこからともなく長閑(のどか)に聞こえてくる。
 コテージの中には物を取りに行くぐらいで、 眠るのも満天の星の下で寝る方が気持ちがいい。そんな、ほとんど24時間、外気と自然の音にさらされた「素朴な無人島生活」の中で、徐々に不思議な酩酊感に包まれていく…。

 心地いい波の音。もうそれだけで充分だ。自然のサウンドに勝るものはない。他に余計な音はいらない。
 ただ、長期で滞在している場合、ふっと気が向いたら何か別のサウンドをかぶせてみるのも悪くない。それは例えば風鈴であったり、生ギターであったり。そのぐらいの変化はあってもいい。
 今回はボサノヴァだった。 島を包む波の音と、シンプルなCDサウンドとのコラボレーション。
 波の音が、より鮮明に耳に入ってくる。 自然の音に絶妙なタッチでオーバーラップする、極上のナチュラル・ミキシング。そして風景までをも、心象的に象徴的にクッキリと浮かび上がらせていく。

 ポカ~ンとした昼下がりの空白な時間の中。椰子の葉が、涼やかで心地いい日影をつくり、光の角度で、時にはハッとするほどの造形美を形づくる。島を訪れたアジサシが、波の上の岩でくつろぐほど、 風は青く穏やかだった。
 遥か先まで続く白い波を見つめ、ヤドカリ達の物言わぬ歩みに耳を傾ける。陽射しは透明な色彩を創りだし、寡黙な影のマドロミの中に落ちていく。そして島は、ゆっくりと物語を語り始める…。
 そんな椰子の葉影のゆらぎに陶酔を感じた時、 波の音に、そっとボサをかぶせてみる。
 あとは、一杯のジンがあればいい……。

 セルソ・フォンセカ&ロナルド・バストスの、 『スローモーション・ボサノヴァ』からの一曲。その曲を島に滞在中、幾度となく聴いていた。そしてそれが徐々に、今回の「島旅」のテーマ曲になっていく。
 一つの旅に、それぞれテーマ曲を設定するのが僕の旅のスタイルだ。それは後述するが、戻ってからも非常に生きてくる。

 しかしボサノヴァとは不思議な音楽ジャンルだ。ブラジルの海岸で生まれたから「南や海、波」のイメージに寄るところが大きい。でも、「スノウ・ボサ」なんていう雪の日をテーマにしたアルバムもあるんだなぁ。
 だからボサとは、ある種の「気分」なんだと思う。心の中が限りなく透明になっていく気分…。

 そして、聴覚というのは視覚以上に情緒に訴えかけてくるものだと思う。
 今、その曲を聴きながらこの文章を書いている。すると様々なシーンが甦ってくるのだ。それは写真を見て呼び起こされる記憶とは違い、 全然別のところに仕舞われた、様々な情景が走馬灯のように現れる不思議な記憶からだった。 

09・7 (496x372)
スポンサーサイト



プロフィール

三輪アキラ

Author:三輪アキラ
-
 JEEP島プロデューサーとして、この「究極の癒しの島」を、スタート時から17年の長きに渡ってプロモートし、日本中の人達に紹介している。
 専門は「旅」に関する広告関係を専門に扱うアートディレクター&アドバイザー。企画プランニング、写真撮影、文章、デザインから、印刷&web制作まで、幅広くトータルにクリエイティブのサポートをしている。

 元々、JTB&JRの宣伝を扱う広告代理店に所属していたのだが、独立して(有)ギルマンという広告プロダクションを設立し現在に至る。とにかく旅が好きで、海外旅は120回以上に及ぶ。
 特にダイビングはプロ級。27年以上のキャリアで2000本以上潜り、「海」を特に得意分野としている。

カテゴリ
カウンター
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR