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2014. 04. 01  
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 『三輪さん、凄いよ! 全部海の方まで真っ白になってる!!』
 小屋で眠っている時、トイレに行って戻ってきた鈴木さんが興奮しながら耳元でささやいた。鈴木さんとは旅行代理店をやっている人で、今回初めて二人でジープ島に視察に来たのだった。まだほんと、この島がスタートした当初。今から15年前ぐらいになるだろうか。

 『ん~、どうしたの?』と、眠い目をしばたたきながら、でもこれはただ事ではないと思ったのだった。わざわざ眠っているトコロを起こすほどの光景を見たのだろうと。瞬時に異変を察し、急いで小屋の外に出てみた。

 『!!!』 …その時の光景は未だに脳裏に焼き付いている。ぼ~っと天上の月光に照らされ、島全体が白っぽい不思議な明るさに包まれていた。満月の夜の素晴らしさはもう何度も経験してきたけど、この日のシュールさは全然「別次元」だった。
 一番驚いたのは、360度見渡せる海が、島の陸地と地続きになっているかのように、その東西南北全てが白銀の大地と化しているのだ! このまま何処からでも水平線の彼方まで歩いていけそうなぐらいに。通常の月明かりでできる「月の道」とは全く違う世界だ。しばらくぼーぜんと立ち尽くした…。

 これはいったい!? 

 その日は満月の翌日。午前1時に月が真上に昇り、その冷光で島を中心にして、全ての空間を照らしているのだった。波のない穏やかな海面は、まるで天女が広げた白いビロードのようだ。島の陸地も海も境目を失い、地上の全てが白く輝いていた。
 月が「真の真上」に来る赤道直下だからこそ起こりえたの! 更に、風がなく鏡のような海面が月の光を反射させていたからだろう。

 この空間の中で、心がす~っと肉体から遊離していくような
不思議な感覚に包まれたのだった。

 「どこか見知らぬ大地」が昔から僕の永遠のテーマだった。そのシュールな光景を見たいがために、旅を重ねていると言ってもいいぐらいに。そんな究極の旅として、地球を離れ「別の天体」に降り立てたらどんなにか素晴らしいことだろう…。ただ今は、まだ火星にすら人類は未踏破なのだ。ん~見てみたい! でもそれはかなわぬ夢…。
 ただ、その生の光景を見るのは遥か先の世代にゆだねるとしても、僕らには「想像力」という無限の資源がある。

 単に網膜を刺激するだけのバーチャルな映像は氾濫する一方だ。でも一番大切なのは、自分の目と耳と鼻と皮膚感で、本物の生の状況にライブで触れる事ではないだろうか…。ここで見る光景は、まぎれもなく「リアルな現実」である。 月がその大地で「恒星」として輝く、もう一つ別の惑星に降り立ったという「ライブの空間」の中において!

 広大な台地にポッカリと浮かび上がったエアーズロック。そこがスピリチュアルに宇宙と交信できるとしたら、この島も広大な海にポッカリと浮かび、その不思議な力で「宇宙」を感じさせてくれる。まさに「パワースポット」としての島なのかもしれない。

 そしてもう一つ、「奇蹟」という部分で触れておかなければならないのが、ムーンボー(ナイトレインボー)だ。満月の頃、月の光だけで出来る虹。それは通常の虹より、数千倍は見るのが難しい。僕もまだ人生の中で一度しか見ていない。もちろんこの島でだけだ。

 その日は東から月が出て、それが中空に浮かぶ晴れやかな満月の日。そして何か不思議と胸騒ぎを覚えたのだった。スコールが断続的に降ってきた事もあったのだろう。『もしかしたら…』と、夕食後、西の空に注意を向けていた。
 するとゲストの一人が、『ねぇ、あれって虹じゃない?』と。
 『えっ?』見たら指差す方向に、薄っすらと白い光のアーチが架かっているではないか!
  『そうだ、そうだ、ムーンボーだ!』

 それは筆でサッと描いた円弧を、夜空にホログラフィーのように
浮かび上がらせているかのようだった。

 ようやく念願の虹が見れたのだ! でも通常のハッピーな虹とは全く違う世界だ。それは感動とはちょっとニュアンスの違う、「静かな安らぎ」といった静謐感をのようなものを伴っていた。
 その日、このはかなくも不思議な光のアーチの前で、言葉を発する事も無く、ただみんな無言でそれを見つめていた……。

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プロフィール

三輪アキラ

Author:三輪アキラ
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 JEEP島プロデューサーとして、この「究極の癒しの島」を、スタート時から17年の長きに渡ってプロモートし、日本中の人達に紹介している。
 専門は「旅」に関する広告関係を専門に扱うアートディレクター&アドバイザー。企画プランニング、写真撮影、文章、デザインから、印刷&web制作まで、幅広くトータルにクリエイティブのサポートをしている。

 元々、JTB&JRの宣伝を扱う広告代理店に所属していたのだが、独立して(有)ギルマンという広告プロダクションを設立し現在に至る。とにかく旅が好きで、海外旅は120回以上に及ぶ。
 特にダイビングはプロ級。27年以上のキャリアで2000本以上潜り、「海」を特に得意分野としている。

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