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2013. 10. 11  
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 映画グランブルーのラストシーン。主人公がイルカたちの世界、そして青との同化を求め、一線を越えてその世界に踏み込んでしまうシーンで終わっている。何とも暗示的で、フィクションとしてのファンタジーに溢れている。
 僕も長いダイビング歴の中で、フッとそんな想いに駆られたこともある。もちろんあくまで想いだけだけど。それほどまでに、ぼくらの住む世界とは全く違う青い世界で生きる者たち。特にイルカやクジラには強烈な憧憬がある。そして強いシンパシーも。

 この広い環礁には、そのイルカたちが生息している。バンドウとハシナガの2種類だ。通常、ドルフィンスイムを行う方がバンドウ。大型で泳ぎもゆったりで、イルカの中でも最も好奇心豊かでフレンドリーだ。一方のハシナガは、小振りでやや人には無関心だが、群れの数も多く、鋭角的でとてもスピード感のある泳ぎをする。両種とも回遊しているエリアは、現在ほぼ分かってきている。それで狙いをつけて、そのエリアまでボートで行くドルフィンスイムが可能となる。
 ただ時おり島にやってくる事がある。スノーケリングしていたらバッタリ遭遇した!と、興奮気味で語るゲスト。背ビレの先が見えたので、マスクとフィンを持って一目散に泳いで向かっていったと語るゲストも。
 何か、『陸上の生物が、バチャバチャ赤ん坊のように泳いでいて楽しそうだなぁ』な~んて思って様子を見に来ているのかもしれない。いずれにせよ、島で会えるのはまた格別。ドルフィンスイムはイルカたちの「家」に遊びに行く感覚だけど、ここでは『どうぞ、いらっしゃい』てな感じで、迎える側だからだ。

 まだ島がスタートしたばかりの頃、そんなイルカたちが遊びに来ることに、とても興味を覚えていた。今でこそドルフィン・スイムでこちらから会いに行けるけど、まだそれを本格的に行う前だから、なおさらだった。フッと気が付けば、海面を横切る背びれを探している自分を発見して、思わず苦笑していた。 

 ある日のこと、ボートスタッフの『イルカ!イルカ!!』の声。コーヒーを飲んでくつろいでいた僕も、瞬時に情況を察知し、反射的にフィンとマスクをつかむ。気持ちはすでに臨戦体制。確かに沖へ80mぐらいの所に、何頭かの背ビレが見え隠れしている。この距離では、このまま泳いでいっても見失うだろう。スタッフに止めてあったボートにエンジンをかけてもらい、ゆっくりと背ビレの見える方向へ移動する。そっとだ、ゆっくりと。イルカ達の姿をボート上で確認する。すばやくマスクをつけ、静かに海の中へ入る。
 光の帯がキラキラと放射状に水中の1点めがけて差し込み、キュイーンという野性のイルカの鳴声が水中に響き渡る。沖は驚くほど深い青だった。光と音と色の過剰な演出。そして不思議に澄み渡った意識。それらが恍惚とイルカの方向へ導いてくれる。 

『いた!!』、ハシナガだった。水深10m位のところを数頭が光の模様を背に浴びながら、スピード感たっぷりに交錯し泳いでいる。もっとそばへ。息を大きく吸ってジャックナイフ(潜水方法)で潜り近づく。
 ここからは「イルカと泳ぎたい、海の中へもっと深く」という願望と、「潜り過ぎると危ない」という生存本能との闘いだ。その微妙なバランスがちょっとでも狂うと失敗する。潜り過ぎて浮上までの息の余裕を失うと後が本当に辛い。
 何頭かが興味を覚えて、確かめるようにすぐ近くをすり抜けていく。流線型の美しい姿。残像を残す圧倒的なスピード感。しばし、もう一つの別の宇宙へ連れていってくれる。

 その後イルカたちは、『さよなら』と首を振り、あっという間に駆け抜けていった。短い時間だった。でも水中で一瞬でも共に泳いだという充実感はある。しばらく茫漠と水面に漂っていた。今度はもっと島の近くまで来ておくれと願いながら。 
 ここで水深60mといった所か。白砂に透けて見える深いブルーのグラデーションは、地球上の最も美しい光景のひとつだと言える。
 スノーケリングでこんな沖まで来ることはないが、でもまだまだこの距離なら島の庭だ。海上でポツンと浮かんでいる自分が妙に自由で、海と一体になっているような気がした。温かい海水に優しく抱かれているかのような感触。顔を上げると、島がホッと安心できるように佇んでいる。まるで微笑みながら『帰っておいで』と言っているかのように。

 風も穏やかで水面に流れもない。よし、ボートで戻らないで、帰りはこのまま泳いで島まで帰ろう。空気とは違う、透明だけど密度のある空間に漂い、そして、スプーンですくえそうな青いゼリーのような感触を楽しみながら。

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プロフィール

三輪アキラ

Author:三輪アキラ
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 JEEP島プロデューサーとして、この「究極の癒しの島」を、スタート時から17年の長きに渡ってプロモートし、日本中の人達に紹介している。
 専門は「旅」に関する広告関係を専門に扱うアートディレクター&アドバイザー。企画プランニング、写真撮影、文章、デザインから、印刷&web制作まで、幅広くトータルにクリエイティブのサポートをしている。

 元々、JTB&JRの宣伝を扱う広告代理店に所属していたのだが、独立して(有)ギルマンという広告プロダクションを設立し現在に至る。とにかく旅が好きで、海外旅は120回以上に及ぶ。
 特にダイビングはプロ級。27年以上のキャリアで2000本以上潜り、「海」を特に得意分野としている。

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