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2014. 02. 20  
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 ボートで行く「遠征」として絶対に外せないのが、サンドパラダイスという水中のポイントだ。ジープ島からボートで約30分。ここは異次元のような桃源郷の入り口。明るい白砂に可愛らしい根がポツンポツンと点在し、色とりどりのハナダイが群れている。まるで宝石箱のような海だ。このムードこそ、この海域の象徴的シーンと言えるだろう。
 実はレンタルフォトのカタログや、水族館の展示パネルを見ると、こういう「気持ちのいいシーン」の撮影場所は、トラック環礁である事が多いのだ。

 それにしてもここの海の表層の色は、いつ見ても感動的だ。幾重にも無数の青の層が分け合い、重なり合い、広がっていく。これは必ず心の引き出しにしまっておかなければならない色…。

 ドーンとタンクを背負って水中にエントリーする。もうそれだけで別世界にいざなわれる。「水という大気を持つ別惑星」に降り立ったかのように…。そして少しずつ深度を下げるにしたがって、一つ一つの根に群がる魚たちの種類も色相も、面白いように変わっていく。その変化は、彼らの棲家の展示場のようでいて、とても興味深く楽しい。
 水深16mの所にある根でストップする。僕が一番好きな根だ。青いソラスズメダイと白く透き通ったスカシテンジクが見事なバランスで共存し、珊瑚の根を覆いつくす大気のように群がる。その小さな生き物たちが宇宙を形創り、高貴で力強い色彩のシンフォニーを奏でる。
 網膜が心地良く刺激されていく…。キリッと引き締まった、驚くべきクリスタルな世界だ。ガラスのような不思議な生命体たち。彼らは逃げる事もなく、ただ無心に舞っている。
 
 ふと「パフューム」というワードが脳裏をよぎった。「香り」とは、視覚の世界にも存在するのではないだろうか。色彩というエキスも、微風のようなサカナ達の流れも、ただただ目と脳髄をしっとりと潤わしてくれる。様々な色と形の香り。そして動き…。
 腹ばいになり、遥か彼方まで続く、青い大気と白い大地の香りを嗅ぐ。ス~っと音もなく魚が横切る。それだけの光景でも、まるで地平線の上に浮く不思議な生命体を見るようだ。とてつもなくシュール! ほんと、とてつもなく…。
 ここで感覚だけの存在となり、ボーっとエアーを吸い切るまで潜って、超次元の彼方に漂っていきたい。

 香りの動きは目に見える。そして風のように流れていく。それが堆積して形にもなる。香りの形。それは視覚の結晶化。更に思考の空洞化を呼ぶ。

 光という触媒を通して、全てが空(カラ)になっていく……。

 水中シーンを堪能し、真っ白になった後、ボートでちょっと先の島に向かう。半年ぐらいのサイクルで、現れては消え、また現れては消えていく幻の砂州だけの島、サンドアイランドだ。水と砂しかない、限りなくシンプルな世界。
 汚れというモノを知らない、この無垢の波打ち際で、ただひたすらボ~っとしていたい。何も考えられない、何も思い浮かばない。全てが完結した、心地いい酩酊感に包まれながら…。

 寄せては返す、波のリズム。光と水と砂と、ただそれだけ。それだけで、何と美しい「小宇宙」を創るのだろう!
 ふと、白いカニを見つけた。捕まえようとすると、スルスルと砂の中に入っていく。波で掘られ、砂から出てきたトコロを捕まえ、水の上で泳がせて見る。流れていく。風のように、夢のように…。

 そしてまた波のマドロミの中に入っていく。何と完結した世界なのだろう。波と砂だけの無限とも思える時間。
 長い年月を通して、波が珊瑚を砕き、やがて砂となる。ブダイが噛み砕き排泄したモノや、スト-ムで砕けたモノもあるだろう。砂は波で浜に打ち上げられ、そしてまた波で海に帰って行く。その悠久の時間に心がシンクロする時、言葉では言い表せない程の充足感を感じるのだ。この地球に生まれた、ただの一つの生命体として…。

 その後、波に誘われるように、シュノーケリングで大気と海中の狭間に漂ってみる。そんな陸と海の境目が溶けていくかのような「キワ」が好きだ。
 稚魚の群れが、ス~ッと通り過ぎていく。地上と海中を隔てる水面の幕が融解した時、ある種の陶酔が訪れる。人も魚になれるのだ!

 太陽の光がサンサンと降り注ぐ、明るくて浅い海中。そこには色とりどりの珊瑚のお花畑が広がる。それは地上よりも密度の濃い、生命力と輝きに満ちた世界。美しい魚が、何の躊躇もなく通り過ぎる。水中の生物達の、この大らかさが好きだ。
 そこには、「生を謳歌する営み」があるだけ。水が結晶化したような青い魚たちの動きに見とれ、喜びを体現しているかのような黄色い魚たちの流れに同化し、宝石のような赤い魚たちの群落のパターンに酔いしれる。

 魚達と一緒にまどろみ、海の世界を共有する。それはとても素敵な事だし、満ち足りた心の充足を感じる。太古に自分がここに居たのかもしれない、そんなDNAに刷り込まれた記憶が甦ってくる。遥か昔、僕らはこの海に住んでいたのだから…。

 ふと岩の隙間から望む光景にハッとした! それはまさに、ロジャー・ディーンがかつて描いた幻想絵画のようだったからだ。60年代後半から70年代にかけて最も花開いたロック・ムーブメント。その時代のレコードジャケットの絵を、幾つも描いた画家だ。「イエス」を思い出してもらえれば、その特異なビジュアルが浮かんでくるはずだ。
 彼のモチーフの象徴としての、不思議なキノコのような形をした珊瑚が見え隠れしている。
 ずっと僕が憧れ続けてきたものが、このディーンが描くような「どこか見知らぬ大地」だった。その甘美で自由なイマジネーションを最も刺激してくれるのが、この水中の景観だった。だから、狂ったように潜り続けてきたのかもしれない。…これからも。

 そして溶けていく。砂の白と、海の青とのキワの中に……。

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プロフィール

三輪アキラ

Author:三輪アキラ
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 JEEP島プロデューサーとして、この「究極の癒しの島」を、スタート時から17年の長きに渡ってプロモートし、日本中の人達に紹介している。
 専門は「旅」に関する広告関係を専門に扱うアートディレクター&アドバイザー。企画プランニング、写真撮影、文章、デザインから、印刷&web制作まで、幅広くトータルにクリエイティブのサポートをしている。

 元々、JTB&JRの宣伝を扱う広告代理店に所属していたのだが、独立して(有)ギルマンという広告プロダクションを設立し現在に至る。とにかく旅が好きで、海外旅は120回以上に及ぶ。
 特にダイビングはプロ級。27年以上のキャリアで2000本以上潜り、「海」を特に得意分野としている。

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