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2014. 11. 16  
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 水の青が結晶したように、それはどこからともなく表われる。ゆらゆらとゆらめく青いシェイプが光を浴び、コバルトを放射する。「ハナタカサゴ」。メタリックブルーの輝きに、尾びれの先の黒いポイントがコントラストを与え、究極のフォルムを形づくる。

 この魚が群を作るあたりでシュノーケリングしてみるといい。水着だけがいいだろう。何も拘束される事のない「素」の状態で、4~5m潜ってこの魚の群の中に入ろう。タカサゴやハナムロとは違う規則性のうすい曖昧なゆらめきの中に居るとき、一瞬、上下左右とも全て消えてなくなる。最もトランシーでドリーミーな時間だ。

 水中というバックグラウンドの青に、そしてまた青。他の色が入り込まないギリギリの色彩の位相が、全てを覆い尽くす。このまま一緒に泳げていってしまうのではないか。。

 意識をトランスさせる物質がナチュラルドラッグとして自然界に存在するように(例えばある種のキノコ)、普遍的な色彩の青に、この星は視覚のドラッグを与えた。視覚は脳だ。そして地球が「青」である根源的な郷愁に陶酔していく・・・。

 美大の学生だった頃、好きな作家はと聞かれると、決まって「イブ・クライン」と答えていた。コンセプチュアルですっ飛んでいて、とにかく気になる画家であった。特に、 「インターナショナル・クラインブルー」と命打った、氏の青の概念にひきつけられた時期でもある。コバルト色の人体のトルソーが、「青の結晶」を見事なまでの存在力で具現化していた。

 以前、富山の県立美術館で実際のトルソーを目にした時、 『この青は究極のダイブの青だ!』と思ったのだった。つい先日、倉敷の大原美術館でも再会し、改めてその認識を確かなものにする事ができた。

 日常からの解放が、最もシンプルでエキサイティングな「遊び」だ。青とメタルと黒。他の色が入り込めない、そぎ落とされた色彩。そしてストイックな香り。ハナタカサゴの群の中に居る時に感じる圧倒的なドリーム感は、そのギリギリまでに削られた色彩の聖域によるものだろうか。

 「キミシマブルー」という言葉が、いつしか一人歩きを始めた。 恐るべき透明度、神秘を通り越した超越的に光り輝く青・・・。

 この青い惑星に生まれ、圧倒的な量の青に包まれた時、人は静かにトランス状態に入っていく。色彩は光によって浮かびあがる。水中では深くなるにしたがって赤や黄は色彩を失い、青だけがくっきりと退色しないで残る。例えばウエットスーツの色で見てみるといい。赤や黄は青をかぶり徐々に色を感じなくなるが、セルリアンブルーの青は地上と同じようにビビットに見える。
 色とは太陽の光そのものの演出であり、全ての感情の源だ。その感情を極限までに昇華したプリミティブな色彩が青。

 青とは「根源的に中和された精神の状態」なのかもしれない。

 いつしか28年に及ぶダイビング歴の中の様々なシーンが、瞬時にフラッシュバックしていく。巨大なジンベエザメとの遭遇や、頭上を舞うマンタ等が脳裏に鮮やかに蘇っていく。「青いシーン」はそれだけ強烈に記憶の内部に焼き付けられている。
 そして遥か昔に、幾度となくこの様なシーンを見たような気がする。恐ろしいまでに崇高で、深く澄み渡った青。全ての生命の源はこの海からだった。太古の頃にDNAにすり込まれたものだろう。
 海と向き合う事によって、この星の本質が少し分かったような気がする。

 そんな中でふと思い出すのは、ある日の「ツムブリ」の巨大な群れの渦の中に突っ込んでいった時の事だ。大型で、メタルな魚体に走る2本の美しいパープルライン。 英名で「レインボー・ランナー」=「虹の走者」。大好きな回遊魚だ。それらが水中を縦横無尽に躍動し、一大幻想絵巻を展開していた。

 自らの周りを、まるで洗濯機のように回転する。思わず叫びだしたくなるような極限的シーンだ! あまりの透明度に水深は20mぐらいの感覚しかなかったが、ダウンカレントであっという間に45m。
 そして、「これ以上潜ると危険だ!」という本能と、 残圧を確認し手首のダイブコンピューターの減圧を読み取り浮上する理性と、目の前で展開される究極のシーンを謳歌する感性と、 上下左右からの流圧をコントロールする筋力と、写真に収める描写力と、状況を乗り切る瞬発力の全てが動員され、加速された走馬灯のように、地球の青い懐の中に漂う・・・。

 見ることから受ける感性への刺激が、ダイビングの重要なテーマだ。そして少しずつ魅惑的な青い毒に、意識の深層が反応していく。クスリが広義のドクであるように、盛り方によっては患部に心地よく利いてくる。

 ブルーがメタルな輝きを放つ時、強烈な重金属の志向としてのドクに変わる。これからもこだわってみたい。プリミティブな「青い色彩の概念」に。そして「日常」という弛緩した意識の砂漠の中で、擦り切れ摩滅していった感性を、もう一度取り戻す「装置」としてのダイブに。

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プロフィール

三輪アキラ

Author:三輪アキラ
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 JEEP島プロデューサーとして、この「究極の癒しの島」を、スタート時から17年の長きに渡ってプロモートし、日本中の人達に紹介している。
 専門は「旅」に関する広告関係を専門に扱うアートディレクター&アドバイザー。企画プランニング、写真撮影、文章、デザインから、印刷&web制作まで、幅広くトータルにクリエイティブのサポートをしている。

 元々、JTB&JRの宣伝を扱う広告代理店に所属していたのだが、独立して(有)ギルマンという広告プロダクションを設立し現在に至る。とにかく旅が好きで、海外旅は120回以上に及ぶ。
 特にダイビングはプロ級。27年以上のキャリアで2000本以上潜り、「海」を特に得意分野としている。

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