FC2ブログ
--. --. --  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2013. 11. 05  
aimg197 (240x180)img169 (240x179)

 ふと、ミカの着ているランニングシャツに目が留まった。横がポッカリ開いていて、まるで風を受ける帆のように膨らんでいる。何とも涼しげだ。
 ミカとは現地スタッフ(ガイド)の一人で、けっこう年はいっている。老人と言ってもおかしくはないが、いつも野球帽のようなものを被り小柄なので、遠くから見ると少年のようにも見える。マイペースで飄々としていて、不思議に存在感のある男だ。

 それでこのシャツ。サンドイッチマンというのか、頭からスッポリ被り前後をただ垂らしただけのもの・・・それなのか?裾がズボンの中に入っているので分からない・・・。妙に気になった。
 「ミカ!」と呼んで、振り返ったところを、身振り手振りで、そのシャツの下はどうなってるの?と聞いてみた。彼はニコニコと笑いながら、おもむろにズボンから裾を引っ張り出した。
 「!!!」・・・ギリギリ僅かな面積で下の方で繋がっていた。その形状が妙に可笑しかった。だよな、サンドイッチマンの訳はないよな。でもそうだったら更に笑える。

 この土地の人間達は、ある意味オシャレだ。イマ風、あるいは伝統的ファッションとは全く違う、風のようなオシャレさとでも言おうか。Tシャツにしても普通には着ない。わざと破ったり、限りなく色褪せさせたりと。ブランド品とは無縁の彼らが、自由気ままに楽しんでいる、「自分流のオシャレさ」なのだろう。
 南の陽光と水と風に晒され、色褪せ、所々穴が開き、破れた布地はとても味わい深い。まさに自然が描いたディティールそのものだ。「破れてもう古くなったから捨てよう」ではない。ここから味わいが出て、宝物のように大事な服となるのだ。それが風のように現れ、風のように去っていく彼らに、とてもよく似合うのだった。

 この土地の人間たちと接して、もう30年近くになる。一年中夏で、着るものには困らない。野菜が不足しているとはいえ、豊かな海には魚やエビ。手が届くところにバナナやパンの実が成っているから、食べものにも困らない。そんな環境で育った彼らは、とにかく明るく、のんびり屋で屈託がない。戦時中は日本との関係も良好だったので、未だに日本人びいきのところもある。
 だからまあ簡単に言ってしまえば、単純でフレンドリー気質な国民とでも言おうか。

 寒暖の差が激しい、厳しい風土を持つ日本。そこに住む働き者で勤勉の日本人とは、ある意味正反対とも言えるだろう。ところがどっこい、これが不思議なことに、この両者はとても似ているんじゃないかと思う時がある。どこかシャイで、どこか屈託がなく、オープンでフレンドリーだ。そこが、中国や韓国等の大陸系の人達と微妙に異なる点だ。 
 日本は四方が海に囲まれた海洋国家。やはり日本人の中に、この辺りから潮に乗って流れてきた海洋民族の血が混ざっているのではと思うのだ。更にここに、ジープ島がこれほどまでに人気が出る秘密が隠されているような気がする。

 そして前述のミカに絡めて、不思議な老人に関してはこんな逸話がある。詠み人知らずというか、僕もある作家の紀行文の中で知ったのだ。それを思い出しながら、こう綴ってみよう。


 ある日、向こうから歩いてくる男に目が留まった。老人のようにも見えるし、少年のようにも見える。達観したかのような落ち着きもあるし、好奇心のある目も若々しく輝いている。何モノをも受け流すかのように、サラッと「風」をまとっている、そんな感じだ。
 いったい幾つぐらいなのだろう?妙に気になったので立ち止まり、声をかけてみた。

「今日はいい天気ですね」
 するとその男、ニコニコと笑いながら、
「ほんと最高の散歩日和じゃのぅ」
 やはり間近に見ると確かに老人なのだが・・・。思い切って聞いてみた。
「ところで失礼ですが、お幾つになられるんですか?」
「80歳じゃよ」
 これにはビックリした!
「いや~お若い!まるで少年のようだ!」
 そこでこの老人、はにかみながら少し笑って悪戯っぽい目でこう言ったのだ。

「そうじゃのぅ、少年になるのに80年もかかってしまったよ」

img222 (496x359)
NEXT Entry
第25話★キミシマで幽体離脱 【幻のように浮かぶ砂州を前に】
NEW Topics
★当ブログについて
★終わりに 【当ブログの見方】
★エピローグ 【潮流に身をまかせて】
第24話★空中浮遊を感じる時 【究極の絶景:鏡の水面】
第23話★遥かなるピサモエ 【唯一無二のジープの姉妹島】
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

三輪アキラ

Author:三輪アキラ
-
 JEEP島プロデューサーとして、この「究極の癒しの島」を、スタート時から17年の長きに渡ってプロモートし、日本中の人達に紹介している。
 専門は「旅」に関する広告関係を専門に扱うアートディレクター&アドバイザー。企画プランニング、写真撮影、文章、デザインから、印刷&web制作まで、幅広くトータルにクリエイティブのサポートをしている。

 元々、JTB&JRの宣伝を扱う広告代理店に所属していたのだが、独立して(有)ギルマンという広告プロダクションを設立し現在に至る。とにかく旅が好きで、海外旅は120回以上に及ぶ。
 特にダイビングはプロ級。27年以上のキャリアで2000本以上潜り、「海」を特に得意分野としている。

カテゴリ
カウンター
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。